押弦(おうげん)しての重心移動の説明

この度押弦しての重心移動Ver.2の練習資料を作成しました。
「押」は音読みで「おう」と読むみたいです。
既に押弦しての重心移動Ver.1として練習を終えている方々は新たに行う必要はございません。
また、この説明を読んで自分には不要だと感じた方はレッスンで取り組む必要はありません。
ある時、気が付いたら私の左手はこんな理屈で動いていて「昔より楽だなー」と感じたので、必要な方には練習に加えて頂くことになりました。

以下、この練習について説明していきますが、もし宜しければその前に準備編をご覧頂くと理解しやすいと思います。
〇練習対象者:
1.7ポジションでの半音階的な重心移動、音階での重心移動を終えた方。
2.簡単な左指の準備の練習を終えた方。
3.またはそれに該当する動きがレッスン開始時に出来ている方。
※練習開始時期が来ましたら、私が資料をお送りします。
悪い癖(注意点参照)が付きやすい動きなので、独学では行わないでください。
     

〇目的
1.ある弦を押さえ続けながら他の弦を押さえる時、なるべく左手のバランスが最適な状態を保ち、左手の負担を減らす。
2.遠くの場所を押さえる時、指を伸ばすと力が入り指のコントロールが薄れるので、押さえる指に重心を移し、なるべく指を伸ばさずに弦を押さえる。
3.上手く音が鳴らない難しい押さえ方でこれを行い、音を出せるようにする。

〇注意点
1.押さえ続ける音の音程が微妙に変わりやすいので、常に伸ばす音の音程に注意する。 
2.基本的に遅い~中庸なフレーズに使う動きであり、速いフレーズや極端に指が離れた場所を押さえる時はこの動きを更に応用させて使う。  



【はじめに】
こちらから押弦しての重心移動の楽譜のPDFをご確認いただけます。
下の楽譜(資料の3番目)を弾くと、動画の1回目のように2弦3フレットのレを押さえるのが難しく、力を入れて無理やり弦を押さえるため「手に負担がかかる」「力んで弦を下に引っ張り音程が変わる」という押さえ方になってしまう場合があります。

押弦しての重心移動3.jpg
動画の2回目の演奏は「押弦しての重心移動」を使って弾いています。
2回目の演奏をよく見て頂くと、弦を押さえ続けている4の指(小指)の角度が微妙に変わっていきます。
しかし、4の指で押さえた音は鳴り続けています。
この押さえ方だと左手はとても楽で力む必要が無いため、2弦のレで弦を下に引っ張る事もありません。
それではどのようにすればこの押さえ方ができるのか。
ここで裏側から撮影した動画をご覧ください。
2回弾いていますが、両方とも「押弦しての重心移動」を使って押さえています。
ご覧になると一目瞭然だと思います。
音が変わる度に毎回左手の親指がずれています。
これは左手の親指を毎回意図的にずらしているのではありません。
親指の力を抜いて重心移動を行うと勝手に親指がずれていきます。
そして、その親指のずれた先の位置はその時に弦を押さえる指の配置において「最適な左手のバランスを保つ位置」です。

1つ目の動画の1回目の演奏は、左手親指を最初から最後まで固定して弾いていました。
実は、曲の最初の音を押さえる時の左手親指の位置は「最適な左手のバランスを保つ位置」に置いている方が多いです。
最初のソ♯のオクターブを弾く時、皆様なんの問題も無いと思います。
ところが6弦ソ♯を押さえながら次のㇻを押さえると、「最適な左手のバランスを保つ位置」が変わります。
しかし親指を固定していると手の重心は最初の「ソ♯のオクターブを押さえる時に最適なバランスを保つ位置」に残ったままです。
そのため、最初のソ♯のオクターブより左手に負担があります。
3弦2フレットのラだったらまだ同弦で隣だから良いのですが、2弦のレでも親指が固定されていると、最初に置いた左手の重心の位置から遠く、弦も異なり、3と4というコントロールしにくい指のコンビネーションということもありかなり無理をして押さえる方が多いです。
結果力んで手に余計な負担を強い、弦を下に引っ張って音程が変わったりという事が起きてしまいます。

「押弦しての重心移動」はそう言った問題を解決し、できるだけ楽に弦を押さえられるようになるためのテクニックです。

【資料・動画の説明】
こちらから押弦しての重心移動の楽譜のPDFをご確認いただけます。
資料にある5つの極めて短い練習をこれから順にご紹介しますが、音が変わる度に左手の重心、左手の親指の位置が「最適な左手のバランスを保つ位置」に移る様に訓練していきます。
そのため、レッスンでは以下の点を確認します。
・弦を押さえる指の角度の変化
・左手親指の位置の変化
・左肘の位置の変化
・余計な力が入っていないか
これらのチェックをご自身でも確認してみてください。
その補助として、5つの練習の動画は1回目:押さえている左手の撮影、2回目:左ひじが見えるよう離れた位置から撮影、3回目:左手親指を見るためにネック裏からの撮影を繋げた編集をしております。
ご参考になれば幸いです。

【練習】
〇押弦しての重心移動1
押弦しての重心移動1.jpg

練習目標
1:毎回、次の音を押さえる指のベストな場所を次に押さえる弦の真上に事前準備する。
2:毎回、前の音を押さえていた指は脱力して浮かせる。
3:毎回、重心移動を行い弦を押さえる。(あまり指を動かさないで弦を押さえる。)
   右側の指で押さえる時ほど左肘が内側に沈む。
4:毎回左手の親指の力を抜き、親指が毎回最適な場所に移ることを目指す。
5:重心移動と親指のずれにより押さえ続ける指の角度が変わるが、それでも力を入れずに音が伸びる事を目指す。
6:押さえ続ける指の角度が変わっても音程が変わらないように左手のバランスを調整する。
レッスンでは目標1が出来たら目標2というように一つずつ順番に身につけていきます。


〇押弦しての重心移動2 
押弦しての重心移動2.jpg

練習目標:押弦しての重心移動1と同じ



〇押弦しての重心移動3
押弦しての重心移動3.jpg

練習目標:押弦しての重心移動1と同じ
2弦1フレットのドからレに移るより、最後の3弦2フレットのㇻから移る方が難しいので注意する。


〇押弦しての重心移動4

押弦しての重心移動4.jpg
練習5の動画もそうなのですが、2弦ソ♯が割れて聞こえると思います。
30回ほどギター3台で繰り返し撮影し、絶対割れていないと思って確認しても割れて録音されているのと、練習5で弾く似た条件の1弦9フレットのド♯は割れていないので、どうもカメラが近いと三脚かカメラ本体が2弦ソ♯に共振してしまうのではないかと。
そんな事があり得るかはわかりませんが、至近距離にマイクを置いてのdatでの録音では割れていないのでその可能性が思い浮かびました。
申し訳ございませんがご了承ください。
練習目標1-6:1番と同じ
注意点
1:1の指はセーハし続ける(練習目標2はセーハする1の指以外で実行する)。
2:セーハは3弦までとなるが、第1関節が軽く反り、第2関節が曲がるセーハを行う。
  1の指を3弦まで置いて第2関節を軽く曲げるとこのセーハができる。
3:4の指で押さえる時、セーハしている1の指の力を抜き1の第2関節が開くことを目指す。


〇押弦しての重心移動5
押弦しての重心移動5.jpg
5弦ラだけでなく3弦ド♯も音を伸ばし続けるため、音を追えるよう演奏前にド♯を弾いています。
練習目標1-6:1番と同じ
注意点1:1の指はセーハし続ける(練習目標2はセーハする1の指以外で実行する)。
注意点2:セーハは2弦までとなるが、第1関節が軽く反り、第2関節が曲がるセーハを行う。
注意点3:4の指で押さえる時、セーハしている1の指の力を抜くことにより、1の第2関節が開き、1の角度が変わることを目指す。

【最後に】
以上で押弦しての重心移動の説明を終わります。
これで終わりではなく、これから曲の各場所で学んだ動きを行い、左手に負担の少ない演奏を目指して頂くことになります。
慣れると自動的にそれぞれの押さえ方に於いて最適な左手のバランスを取れるようになると思いますが、多くの方にとっては長い期間が必要だと思います。
恥ずかしながら私もまだまだ先の話になりそうです。
長期的な視野を持ち、常に手のバランスを考えながら練習してみてください。


最後に、少し速いフレーズの時はどのように応用させるかを例としてご覧いただきます。
下の演奏は1回目は親指ほぼ固定、2回目はゆっくりと「押弦しての重心移動」を毎回行っております。
親指固定はダメなんじゃないの?とこれまでの説明をお読みくださった方は思うかもしれません。
この親指固定はフレーズの最初から最後までの全ての音を押さえる時のバランスを考え、最もバランスの取れる場所に固定しているとお考えください。
準備編で説明した青いシールの位置がこれに当たります。


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