どこに寄り添う事もなく俯瞰的な目線を持ちたいものです。
前回カルカッシの25のエチュード第1番の分析譜を公開しましたが、どうも1点自分で納得がいかないパートがありました。
でもこの解釈をすると連続したアクセントが1小節内で2回起こるからゴツゴツするんだよなー、と無理矢理納得していました。
今朝対位法の課題をやっていて、それを解決する方法に気が付きました。
私がそこを対位法的に捉えていたのでした。
古典の時代の曲なのに、トホホ。
問題の箇所がこちら29小節からのCパート。
動機がcとc’と2種類あります。
解釈を押し付ける事の無いよう2パターン用意して好きな方を選べるようにそうしました。
また、その2つの解釈両方ともに間違いではない、と考えたという理由もあります。
それで私は感覚で29小節強拍(1,3拍目)の低いドやソは下声担当で上声はソから始まるcを選びたかったのですね。
ただそうすると問題が1つある、と「c'を選ぶ」と昨日の分析譜に書きました。
ここ7ヶ月ほどバロック音楽ばっかり分析してきて、対位法は独学も含め3ヵ月弱、学習期間としてはまだ短いですがほぼ毎日課題をやってきました。
するとこの箇所も下声の定旋律に対する対旋律のように見えていたみたいで、対位法的奏法が自然と浮かんでしまったようです。
対位法的奏法とは何かというとそれぞれ独立した声部の旋律がタイミングをずらしながら開始され(る事が多く)ハーモニーを作っていく。
各旋律の開始音が別の声部に埋もれないよう、五月蠅くなく僅かにアクセントが付く、というものです。
これは学術書で読んだものでなく、私が勝手にそう思っているだけかもしれません。
これはバッハのインベンション第13番イ短調の冒頭。
青い音にちょっとだけアクセントを付けて弾きたくなります。
下はリュート組曲2番のサラバンド。見えないですが前の拍でレに♯が付いております。
最初レ♯ファ♯ラドという音の流れになっておりますが、和音としてはイ短調のⅤの副5属9の和音根音省略第1転回形。
コード名はB9/D♯
最初のレ♯は前の動機の終わりの音で次のファ♯ラドシは別の動機として捉えました。
それを聞く方に伝えるにはやはり新しい動機の開始音である青いファ♯を少し強調したくなる。
それで戻ってきてカルカッシのエチュード1番。
上の理屈と同じでcで取ると青い音に少しですがアクセントを付けたくなってしまうのですね。
もう感覚的にそういう頭になってしまった。
1番が旋法的な曲だったというのもありますが。
だからここ以外はそういう解釈も成り立つと考えております。
ところがここはその半拍前の低音も開始音でしかも旋律的であり、強拍に配置されているのでそこにもアクセントを付ける必要がある。
アクセントの連続が1小節に2回も起こってしまう訳です。
1回ならまあ良い?と思うのですが、2回がCパートでずーっと続くのはおかしい、と感じてしまった。
それで昨日公開した資料には私はc’を選ぶと書いたのですが、個人的にはcで弾きたいなーと思っていました。
さてこの問題、「いやこの曲は対位法の曲じゃないっす」で解決します。
cを選んでも青い所にアクセントつけなくてオッケーよ、バスに対する伴奏で良いじゃない!と。
同じ時代の曲ばっかり長く勉強し過ぎたかなあ。
あと2年程バッハというかバロック音楽中心で行く予定なんですが、気を付けねば。
バロックの曲は対位法と和声法の混ざったもので対位法のみ、和声法のみ、という事でもないんですけどね。
読んでいる音楽修辞学の本には「バロック時代の曲はルネサンス音楽(対位法の曲)のなまりである」なんて書いてあります。
英語の本なので翻訳が合っているかはわかりませんが。
そんな訳で前の記事で公開した分析譜は少し修正し再アップロードしました。
精進あるのみですね。
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