P(右手親指)の側面消音-ステップ1、2-
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うちの教室は私が自分のレッスン用に教本を全て作っており、資料が不要な場合にはレッスンノートに練習方法を書き込んで練習して頂いております。
だからここで練習方法を公開することも不要な気がしますが、ギターを音楽的に演奏する上で重要だと感じご紹介することにしました。
【はじめに】
ギターは片手で弦を押さえ、もう片方の手で弦を弾きます。
しかし、例外もあります。
片手で弦を押さえなくても出せる音、それが開放弦の音です。
既にギターを弾いている皆様はよくご存じの通り、開放弦の音とはチューニングを合わせる時に弾く音です。
6弦(天井に最も近い上の位置にある弦)から1弦(床に最も近い下の位置にある弦)に向けてミラレソシミと音を合わせます。
弦を押さえなくても出せる音であり、何もしなければその音は数秒間鳴り続けます。
※時間経過とともに音量は小さくなり、最終的に消えます。
この現象を「音の減衰」と呼びます。
この開放弦の音の存在というのはギターにとって非常に重要です。
クラシックギターの曲の多くは、この音、特に低音弦開放音を上手く使用し奏する事が出来る調性で作られております。
低音弦である6弦、5弦、4弦が特に重要となる調を記します。
その音が主音または属音に当たる調をピックアップしております。。
6弦開放音「ミ」が重要となる、ホ長調、ホ短調、イ長調、イ短調
5弦開放音「ラ」が重要となる、イ長調、イ短調、ニ長調、ニ短調
4弦開放音「レ」が重要となる、ニ長調、ニ短調、ト長調 ト短調(6弦ミに♭が付くので微妙な所ですが)
これらに加え、調号がつかない最も基本的なハ長調。
以上の調でクラシックギターの曲の大半は作られております。
うちの教室の音階練習も上記の調までで、♯4つのホ長調の先、♯5つのロ長調などは練習の負担が増えるため控えております。
それだけ開放弦の音が重要という事になります。
その重要である開放弦の音ですが、「消音しないと鳴り続けてしまう」という特性が故に、次に弾く音の響きを邪魔してしまう場合があります。
※ステップ3「カデンツでの消音練習」で和声理論なども踏まえ、更に具体的な説明をいたします。
今回はこの上位開放弦の音による不適切な音の響きを解消する、右手親指の側面による消音法の説明をいたします。
※上位弦とは5弦から見た6弦、4弦から見た5弦など上の位置にある弦を指しています。
なお、この練習は適切な指導者がいないと右手のフォームが崩れる事があります。
特にクラシックギターを始めてまだ1年が経過していない方が、独学でこの消音法を身につけようとするのはお薦めできません。
各練習に対象となるクラシックギター歴が書いてありますが、これはうちの生徒さんを対象としてもので、他教室または独学の方は+1年とお考え下さい。
ステップ1:単弦でのpの側面消音
対象:クラシックギター歴3ヵ月の方以上
まずは各開放弦の音が記された楽譜をご覧ください。
これを弾いて練習していきます。
今回の練習・説明用の資料の画像1となります。
プリントアウトしたい方はこちらのPDFファイルをご覧ください。
〇練習方法
6弦開放音ミをp(右手親指)で弾いたら5弦にpを少し深め(写真参照)に置きます。
「少し深めに置く」と言う表現がわかりにくい場合、「奥に差し込むように5弦に置く」という表現はいかがでしょうか。
この深めに置く、と言う動作をすると右手親指の側面が6弦に触れ、6弦の振動を止め消音できます。
この動作を各弦で繰り返すだけです。
6弦の消音ができたら5弦を弾き、4弦にpを置きその側面で5弦を消音。
4弦を弾き、3弦にpを置きその側面で消音。
と続きます。
注意点は2点。
1.弦にpを置く前のフォームと弦にpを置いた時のフォームが変わらないようにする。
言い換えると消音のために無理に手首の角度、右手の角度、弦に対するpの角度を変えない。
2.鳴っている上位弦に爪が当たるとノイズが鳴るので注意する。
となります。
下の写真は手首の角度を変えてしまっている悪い例。
次は右手の角度を無理に変えてしまっている悪い例。
こちらは実演動画です。例の如く限定公開なのでご注意ください。
ステップ2:開放和音でのpの側面消音練習
対象:クラシックギター歴3ヵ月の方以上
〇練習方法
こちらの楽譜を使っていきます。
PDFファイル画像2です。
pを6弦、iを3弦、mを2弦、aを1弦に置く。
4本の弦を同時に弾く。
pを5弦、iを3弦、mを2弦、aを1弦に置く。
この時pの側面で6弦を消音する。
4本の弦を同時に弾く。
pを4弦、iを3弦、mを2弦、aを1弦に置く。
この時pの側面で5弦を消音する。
4本の弦を同時に弾く。
注意点
弦にpimaを置く前のフォームと弦にpimaを置いた時のフォームが変わらないようにする。
言い換えると消音のために無理に手首の角度、右手の角度、弦に対するpimaの角度を変えない。
となります。
実演動画です。
今回はここまでとなります。
次回は曲を構成する中心的な和音を使っての消音。
そして実際に簡単な曲での練習をご紹介します。
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