先が見えない霧の中。それはそれで楽しい。
先日の発表会の様子のラベル編集で体がバッキバキになり、回復するまでに5日間かかりました。
精神的にも魂が半分抜けかけたというか、私は物凄く集中すると食事をしなくなるのですが、そうすると胃液が濃くなって体外に排出しようと吐いてしまうんですね。
汚い話で恐縮ですが、床に嘔吐してそこにティッシュを重ねて放置して作業を続けるくらいには集中できました。
年を重ねると夢中になれるものが減ってしまって悲しいです。
そんな中、辛いを凌駕する楽しいを経験できました。ありがとうございます。
北海道の星撮りツーリングや雪山での星景撮影くらい楽しかった。
でも後日乾いて床に張り付いたティッシュの掃除が大変でした…
皆様の演奏は大変好評で「前回と比べてと皆さん明確に音が変わった」「どの方も表現が豊かで驚いた」「短調が緊張感があると言うか怖いけど何度でも聞いてしまう」その他にも多くの良いご感想を頂きました。
ラベル編集の反応は、発表会に参加した方やカデンツをそこそこ進めている方からは「自分が該当箇所が上手く表現できていないのがわかりました。ラベルを参考に練習を頑張ります!」「終止形や跳躍進行がどこで行われているかわかって良い」「転調の感じがなんとなくわかった」「皆さんがどんな練習に力を入れ、それが演奏にどんな影響がでているかわかった」と思ったより良い反応が頂けました。
しかし、当然手応えのある反応ばかりではありません。
初心者の方からは「難しくてよくわからなかった」という反応がほとんど。
それが当たり前の事なので問題ないです。
作っている最中から「意味がわからないんだよバーカバーカ」と言われるのを覚悟でずーっと編集してきましたので、実際そう思っても大丈夫です。
その反応が普通だと思います。
既に小学校低学年から学べる音楽的感覚の訓練のマニュアルはほぼ出来ており、そうおっしゃる方も1年後見返した時「あー、こういう事だったのか」と納得して頂けると思います。
その時はどっかの河原で2人仰向けになり青空を見上げ「お前やるじゃねーか」「へへ、お前こそ」というやり取りをしましょう。
今回の発表会の様子のご紹介は20年前から私が考えていたことの30%、2年前から考えていた事の10%くらいは表せているとは思いますが、所々論理は破綻していますしあまり出来の良いものとは言えません。
動画の編集に9.5割時間を取られたり、本来は1年後に行おうと考えていた事を前倒しで行ったので仕方ないのですが、説明の理論構築が不十分です。
2年前から「あと何年この仕事が続けられるだろうか」と言う考えが浮かぶようになり、少し早めに自分の考える理想のレッスンを完成させようと焦ってしまった結果です。
それについては猛省しつつ、今後1年かけて資料を作り、まとめていきたいと思います。
とりあえず短期的な目標としては5月に催される作曲の先生の門下生の舞台でのアナリーゼ発表。
昨年はバッハの曲を使い、保続音や部分動機を元にした演奏表現を作っていきました。
こちらは昨年のアナリーゼ発表の様子になります。
極めて少数でしょうが、未だにあの時配布した分析譜を見て下さっている方もいるらしく、それは、たとえ一人だとしても大変嬉しく思います。
しかし、今回はもう少し多くの方のお役に立つような研究発表にしたいと考えております。
テーマは「調・主音とは何か」。
対象は小学3年生以上。
少し変更はあるかもしれませんが、大筋はこれで行こうかと思います。
持ち時間15分-20分と短いですが、知識としてだけでなく、感覚としてもそれを理解してもらえるよう今から台本を書いています。
正直前回よりハードルが高い。
でもそのために色々と考えるのはとても楽しいです。
申し訳ないのは演奏曲。
対象年齢以上の聴講者全般にその内容を理解をしてもらいたい、聴講者はピアノを弾く方が多いので実際に曲を弾いて実感してもらいたい、という理由から、かなり易しいギター曲C.ヘンツェの「ノクターン」を演奏する事になりそうです。
当日は同曲をギター譜と、ピアノでも弾けるようピアノ譜の分析譜も作り配布予定です。
演奏曲を決めた経緯ですが
・ピアノ、ギターを習って1年から2年くらいの小学生でも演奏できるシンプルな旋律とリズムの曲
・弾いて、聞いて楽しい曲
・多くの方にとって最もなじみ深いハ長調が主調
・終止形がしっかりしている。
・曲が主音で終わる
と言う条件に叶う曲としてノクターンが最適だと感じ、選びました。
やはり弾かないと調や主音、終止形を実感しにくいですから。
500回くらい楽譜を見ながら曲を聞くと、終止形はもちろん対斜なども聞いてわかったりするのですが、それは現実的に厳しい。
だから、原曲はギター曲ですが、ピアノで弾いて調や主音の意味・役割を実感してもらえたら嬉しいです。
そのためにはテーマのプレゼンの説得力が重要。
本当に何かを伝えたい、と考えた時、最善の言葉を選ぶのは極めて難しいです。
しかし、今回のラベルも含め、多くの恥をかきつつ進んできたのは無駄ではなかったと思います。
演奏動画にラベルを貼らせてもらう作業を許して下さった皆様、ご協力本当にありがとうございました。
まだまだ未熟ではありますが、皆様のご厚意により成長させて頂き、この経験が次に活きると思います。
取りあえず、崩れた生活習慣も直ってきたのでまた新しい目標に向かって励みます。
写真はお正月に行った東京国立博物館で買った長谷川等伯筆「松林図屛風」のミニチュアレプリカ。
生の迫力は凄かったです。
白い部分は霧だそう。
先の事が全くわからない霧に向かって今は進んでいます。
正直霧が晴れなくても良いのかもしれません。
霧の中を進むのも結構楽しいものです。
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